ねこだすけニュース vol.14

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Neko-Dasuke NEWS
14号掲載予定の主な内容
  • どうぶつたちへのレクイエム
  • 動管センター訪問
  • 改正動物愛護法の解説
  • 不幸な猫をなくすには?
  • ルールとモラル
  • 海外のにゃんこ
  • 三宅島から来た一家
  • 地域猫がもたらすもの
  • ちいきが主役
  • クロスレポーティング
  • てっちゃんの大冒険
  • 地域猫対策の活動報告
  • いのちある動物の擁護活動報告
  • ねこだすけのお誘い

クロスレポーティング 先制攻撃 First Strike by HSUS

The Humane Society of the United States (c)All rights reserved.
文:ねこだすけ翻訳チーム 著作はHSUSに帰属します。

暴力を減らすための地域社会の役割

 暴力は私たちの時代を定義づける特徴の1つになりました。生活に直接かかわってこなくても、私達は毎日ニュース映像で暴力の被害を見ています。暴力は私たちすべてに何らかの影響を与えるので、私たちが共に考えなければならない問題です。
 米国動物保護協会(HSUS)では、2つの目標を設定してファーストストライク(先制攻撃)キャンペーンを推進してきました。
 2つの目標とは、動物虐待と人間虐待の十分な裏付けのある関連性についての人々の認識を高めること、および暴力禁止運動にかかわる全ての人々の連携を呼びかけることです。これが、暴力を分類しようとする一般的な慣行に対する私達の答えです。
 動物虐待、児童虐待、配偶者への暴力、老人虐待、セクシュアルハラスメント、職場での暴力などと分類した場合、大きな図式が見えなくなりがちです。
 "暴力はこのような分類を超える"これが事実です。動物虐待は特に最終的には対人暴力へと発展する暴力的傾向の初期の警告であることが多いのです。
 猫を虐待する少年は、成長して、人間を殺傷する可能性があります。家庭で飼育しているペットを虐待する親は、子供を虐待している可能性があります。動物を虐待する子供は、家庭内暴力の犠牲者であるか、それを目撃している可能性があります。
 動物虐待と人間虐待の間の関連性について多くの研究が行われ、家庭内での動物虐待は、その家庭に重大な問題があることを示唆することが明らかになりました。
 動物福祉機関は日常的に動物虐待の通報を調査していくうちに家庭内暴力も発見しています。
 暴力に介入する諸機関の代表者と共に地域社会における暴力禁止組織間連合を築くか、組織間連合がすでに存在している場合は、それに参加することで、状況を改善できます。
 動物虐待と人間虐待の関連性を認識している諸機関が暴力禁止の組織間連合を構築することで、暴力被害者を一層保護し、暴力の加害者を告訴して処罰し、暴力的傾向のある人々を早期に発見して将来の暴力発生を防止できます。
 地域社会活動プログラムにこのような協力体制をとり入れることで、専門家や地域社会全体の意識レベルは向上し、より多くの人々が参加するようになります。その結果、あらゆる暴力行為の早期発見と適切な対処が可能になります。
 組織間連合の構築により、組織間ネットワークが強化されクロスレポーティングが盛んになり、暴力事例に対して単独ではなく協力して対処できるようになります。さらに、地域社会の暴力禁止法を多角的に見直し、改善できるようになります。

クロスレポーティング(情報交換)

 地域社会で起こる虐待や放置、暴力に対抗する方法として調査機関が最も一般的に用いる方法に「クロスレポーティング」があります。それは多くの公式、非公式な場で結ばれている協力的な合意の基礎となるものです。
 多くの地域では、動物保護局と社会福祉局の間での情報交換(クロスレポーティング)は、自主的に行なわれているに過ぎません。
 しかしカリフォルニア州法では、動物保護官は児童虐待の事例を専門家に報告することが義務付けられています。サンディエゴ市でも、社会福祉局と児童福祉局は、動物虐待の事例をサンディエゴ動物管理局に報告することが義務付けられています。
 つまり、クロスレポーティングが義務付けられているのです。


ルールとモラル  by フリーライター おとぎ智行

 動物保護管理担当の環境省移管が決まっている総理府が活発です。
 ペットは単なる愛玩動物ではないといい、26年間もの長い間お座なりにされた動管法を改正し、動物の法律の内容を知る者がたった、1・8%である事実を世論調査で発表しました。
 ねこの多頭飼養キャテリーの臨床例から発見された30数種類にも及ぶ感染症の知識を飼い主が認識することとし、これ以上の新種の発生や拡散を防ごうとしました。元来野良猫が持つ感染症は1種類とされているので、拡散するねこの感染症には、危機や抑止を呼び掛けています。
 動物取扱業であっても、犬及びねこの適正な終生飼養と繁殖制限は努めであることをパブリックコメントで回答し、犬およびねこの飼い主が終生の飼養を目的にしないみだりな繁殖を防ぐ責務を動物取扱業にも適用しました。
 有体物として犬及びねこを生産販売するブリーダーを動物取扱業規制の範囲とし、小売り業などの販売業は購入者に対して、適正な飼養や保管を説明し理解させることになりました。
 人も動物も生命尊重とする動管法の倫理規範を、動物は命あるものであり、人との共生に配慮する、と書き換えた動物愛護法の実行に際しては各都道府県などが条例を制定しています。
 法律をザルと呼ばせない努力は、市民の間でも始まっており、法律を上手にドンブリにすくい直す働きかけは全国の地域行政に対しても行われています。
 東京都条例では法律に従い、動物取扱業の届出を規則しましたが、動物飼養専用施設の有無や、動物の取扱を継続反復する規模の多少などによっては、有体物の愛玩用犬ねこを生産する取扱者などが届出の責務を免れる事態も起ります。規則の抜け道をふさぎ、法の精神を正しく実行するに当たっては、市民へ動物愛護推進員を委嘱し、地域における動物愛護と適正な飼養を推進できることになりました。
 動管法の制定以前の昭和26年より、狂犬病予防法で規則された予防員や捕獲人が法に準拠して行う犬の抑留や、厚生省の過去の通知が拡大解釈された上で、放置放浪犬ねこの駆除を条例化しまたは措置とする自治体もありますが、法を超える行政行為は憲法違反とされる恐れもあります。
 法の実行に対する監視や是正要請などは個人レベルの市民活動では行いにくいことを反映し、動物愛護家の連合体もできました。
 動管法改正運動を展開した「動物の法律を考える連絡会」は「動物との共生を考える連絡会」に継承され、既にシンポジウムも開催されました。(お問合せ専用電話03・3391・1733 自然と動物を考える市民会議宛)
 改正法では、新しく動物取扱業の規制が加えられ、動物販売業や飼い主の責務の実行が促されました。また、罰則規定では殺す傷つける罪と、衰弱させるなどの虐待とに量刑が分けられました。遺棄罰則も含めた改正法が従来のようにザルとされず、適切に実行されるためには、地域行政の警察や消防、教育機関などが緊密に連携するシステム作りが求められています。

 人と愛護動物との共生を目指すモラルは、動物の本能や習性や生理を充分に理解し、飼い主が形作ります。モラルを形作る礎のルールは、動物擁護を唱える立場からも、または動物を愛玩と見立てる立場からしても、動物の愛護及び管理に関する法の精神を曲げて作ることはできないことの普及啓発が、動管法制定から26年を経て行われ始めています。


てっちゃんの大冒険  by 猫 澤

てっちゃんがいません!
10月6日未明、てっちゃんがいなくなりました。
てっちゃんはどこでしょう?
自宅から消えてしまいました。
誰がてっちゃんを隠したのでしょう?
いい加減な飼い主の不注意でした。
一体何があったのでしょう?
家の周りで毎日名前を呼んでも返事はありません。
どうしたらいいのでしょう。
写真入りのチラシを作り近所にポストイン。
夕方・明け方・夜中に名前を呼びながら捜索。
交番・動管センター・保健所・近隣獣医・
公園事務所・清掃局・土木事務所に連絡。
友達は名探偵。
猫に詳しい友人と近所の聞き込み。
犬の散歩の人、猫に餌をあげている人に直接
お願いした他、行き届かないエリアは新聞の折り込み
広告でカバー。こっそり電柱にも貼りまくる。
てっちゃん発見です!
てっちゃんは川に落ちていました。
見つけた人が電話をくれました。

消防隊員さんが捕まえてくれました。

めでたしめでたし。

てっちゃんごめんね。

もう2度とお外に出しません。


地域ねこ対策の実行 地域ねこ活動報告

by ねこだすけ地域ねこヘルパー &地域ねこインスペクター 2000.10.
地域ねこヘルパーが行政の方々のご協力に感謝しています。

●O区で室内飼いの猫さんが脱走。脱走先で保護した方が猫を気に入り、返す返さないでトラブルになりました。保健所、警察の方にも多大なご協力を頂き無事元の飼い主さん宅に帰りました。

●千葉県のある公園。餌やり禁止の看板が出て大騒ぎ。公園担当の方とお話をし資料をお送りしました。「解決方法がお陰様でよくわかりました。」とわざわざお電話を頂き看板も撤去されました。

●S区の保健所には「手術をしたいけれども捕まらない」という相談がたびたびあります。トラップケージをお届けしたりお送りしたり。少しずつ確実に繁殖制限手術は浸透しています。

●M区では素晴らしいステッカーが大好評。「餌やりの後片づけと不妊手術をしてね」どちらも動愛法にうたわれている飼い主の努力義務。いのちにやさしいステッカーです。M区内のあちこちに見られますが餌やりさんも気を引き締めてがんばってらっしゃいます。

●K区では亡くなった餌やりさんのご遺族がご近所の苦情にうんざりされ「動保センターで処分する」。保健所の方もお手上げ状態。お伺いしてお話しした結果、不妊手術に同意され、更にエサやりも引き受けてくださいました。本当は殺さずになんとか生かしてあげたい方も多いです。

●T区の公園管理の方は「鳩がいて、猫がいて、犬が散歩にきて訪れる人が生き物や自然と触れ合う。それが公園でしょう!!」餌やりさんががんばって不妊手術に励むわけです。餌やりさんもがんばってます!

●S区の公園では「地域ねこインスペクター」のもと、餌やりさん達が大活躍。捕獲、獣医さんへの運搬なども率先してやってくださり猫さんに代わり感謝感謝です。

●K市のある集合住宅でも餌やりさん達が徐々に結集。餌やりさんの数が多く現在も調査中ですが住宅の持ち主である不動産会社さんからも地域ねこ対策へご協力のお申し出を頂き、ねこヘルパーを中心に餌やり住民に責任感も生まれています。

●S区の地域ねこヘルパーさん「1回に1カップ。食べ残しは処分し、次からはその分量を減らすの。経済的よ。それから食べたら必ずお皿を下げること」不妊手術も終わり苦情が出ないのも道理です。

●A区の餌やりさん。餌だけを与えてきたために猫が増え苦情が殺到。ここにはねこヘルパーが何度も足を運びオスもメスも手術を開始しました。増え続ける猫の餌代と苦情の量と不妊手術費用を量りにかけた結果かも。同情したご近所の方のご寄付もおまけに付きました。

●大きなビジネスビルが立ち並ぶ綺麗な街並。この街に勤務する人と地域のねこ対策の捕獲に行きましたところ「あらあ、知ってるわ。地域ねこでしょう。」って通勤の方々からお声をいただきました。

●飲食街の一角で子猫3匹発見。全ての猫ちゃんが地域ねこヘルパーさんに管理されているので、どうして子猫が涌いて出たのか不明。閉じてしまった目を洗って目薬の応急処置の後、会社勤め地域ねこインスペクター氏の残業が終わってから協力獣医さんでお泊まりです。擦り込み(室内飼いに向けた躾トレーニング)をしてから里親さん探し。

●野良猫への手術は獣医師の社会貢献活動の一つ、とおっしゃる獣医さんからの依頼です。ねこの福祉ボランティアさんに名乗りを上げた方を紹介され、地域ねこヘルパーが保護と対策を現場で実地研修。

●都内中心部、環境が整備されている都営団地自治会便りは「改正動物愛護法では猫の駆除処分ができるので期待している。保健所が餌やり禁止を説得する。餌をやる居住不適格者は住宅局に申請される。」など、都も驚嘆する記事でした。勿論地域ねこインスペクターがお話し合いや対策を始めました。

●「野良猫に手術するには警察の許可がいる」などという行政職員が未だいました。地域ねこ対策ヘルパーさんとのお話し合いで誤解は解消。

●老人介護ヘルパーさんとの"クロスレポーティング" (本紙9頁)が現実の課題になりました。一人暮らしでお身体のご不自由なお年寄りの飼い猫と、猫に係わることのできない介護ヘルパーさん。譲渡も処分もしたくはありませんが、適切な飼養も困難な場合があります。猫の殺傷や衰弱虐待対策には、行政や福祉機関とボランティアが連動した実行情報の交換が大きな解決案です。