お問合せへ、概略のみですがご案内いたします。(平成14年~up)
マスコミやジャーナリストさんなど、世間に情報を発信する立場からの取材などを求められた際に、相互に行う事前オリエン等ご参考資料として・・・

動物愛護気風の成熟を願う道のり
動物が命あるものであることに鑑みて、人との共生に配慮されることの実行の経緯と、普及啓発が措置されない事態の考察。

時代背景

動物が単なる愛玩物(ペット)として位置付けられた兆しは、戦後復興が終った頃の「小鳥屋さん」と「かごの鳥」が顕著な事例とされる。犬に使役性を持たせた夜間放浪飼いの番犬や、一部ではスピッツなどの流行にも見られた愛玩純血犬の流通。ねこは主に屋外で暮らす野良猫との位置付けなどを経て、保護動物または愛護動物とする認識は当時同様に、未だ定着されていない。

物流犬の品評会などがすすみ、やがてねこにも波及。愛玩用や使役性を持たせた、人のために働く動物の繁殖流通システムが、愛護動物を適切に管理する方法の普及より先に整う。

鳥獣保護法(大正7年)はペットや生物多様性に係わる移入動物を想定していなかった。狂犬病予防法(昭和25年)では、犬の鑑札登録性が定められ、知事が任命する予防員(獣医師・職員)と知事が指名する捕獲人により、抑留後の致死処分施策が容易に慣例化した。致死処分施設が各都道府県に設置される。放浪犬の野犬狩り行為が認知され、余剰動物の駆除処理が意識定着し、現在ペットといわれる動物にも致死処分施策が適用され始めた。

英国からの国賓、エリザベス女王が来日。昭和48年、小動物への法整備が求められ動物の保護及び管理に関する法律を施行。生命尊重が同法の精神とされていたが、保護動物または愛護動物と位置付けする、適切な普及啓発が満たされる機会は少なかった。

解説

人のために働く動物たちを、単なる愛玩動物と位置付けたペット産業が発達。狂犬病予防法で培われた、余剰動物の致死処分施策が定着。それらに係る世論に配慮され、法の執行に警察の介入が控えられた。

法曹界では、動物を有体物として何らかの財産価値、あるいは所有する権利を守る位置付けが定着し、生命体とする研究や法の実行はなされない。

行政施策や学術的な分野では、産業動物、実験動物、展示動物など、産業や実業界に根づいた、保護動物(現・愛護動物)の政令基準が分野関係者により制定され、昭和50年に告示された犬およびねこの飼養及び保管に関する基準が、適切に普及啓発される機会はなかった。

平成12年には同法が改正されたことをうけて、動物取扱業の政令基準が告示されたほか、平成14年には犬およびねこの政令基準も家庭動物(愛がん動物・伴侶動物)と位置付けされ規則されるに至り、動物は人のために働くものとする風潮が一層高まる。

行政不作為や法を超えた措置

動物は単なるペットではなく命あるものであることに鑑み、人との共生に配慮されるとする、旧動物保護法の精神を踏襲した、改正動物愛護管理法が平成12年に施行された。

旧動物保護法でも保護動物(現・愛護動物)に対しての適切な飼養及び保管などの実行方法を定めていた。終生飼養・適正飼養・繁殖制限・譲渡規制・遺棄罰則・殺傷、衰弱虐待罰則などは法の定めに従い、業とする飼い主にも適用例外がなされるものではなかったが、法の精神が実行されることもなかった。

余剰動物に対する処遇は、狂犬病予防法の慣例を引き継ぎ致死処分が受け継がれた。行政が引き取った動物に対して飼養の継続及び、飼養機会の発見など生存の機会を与える適切なシステムは整備されていない。

解説

動物保護法本法により、一生涯適切に飼えないときは繁殖制限を施し、万事他に譲るより方法が求められない場合にのみ、自己の責務において譲渡先を求め、且つやむを得ない場合に限り、緊急回避的な措置として、行政に引き取りを申請できることとされていた。

つまり、本法ではあらかじめ譲渡を目的にした人為的繁殖に、合理的な整合性を定めていない。且つ、余剰動物の引き取りを主旨ともしていない。また本法にはみだりな譲渡を抑止する積極的な工夫もされていない。

産業・実業界に供される保護動物(現・愛護動物)は既に膨大な数に上っていた。命あることに鑑みた愛護動物は、産業や実業の分野においては価値を持つ有体物として流通される。このため法の精神の適切な実行は行政施策としても、また行政執行官が適切に履行する施策措置としても、実行され難い事態に陥った。

繁殖制限責務が満たされないことにも起因し、終生の適性飼養が充足されないため、放置放浪や引き取り申請される動物はなくならない。

慣例として引き継がれた引き取り動物の致死処分措置が徹底し、飼養の継続及び生存の機会を与えるシステムが整っていないため、罰則規定にて処罰対象となる遺棄該当動物や殺傷動物、衰弱虐待該当動物などの事件解決に係わる保管方法がなく、警察が法の執行をしにくい事態となっている。

学校教育の現場では、人が動物と接する状況を教育するために、学校飼育動物などが供されているが、動物が人の命とは異なるものの、やはり命を持つものであることに基づく、人と動物との絆などを教育する適切な指導は教育者にもなされていない。このため、児童生徒の教育素材として、愛護動物が解剖に供されるなど、法の実行に際し合理的な整合性を欠く事態もなくなっていない。

各自治体では愛護動物行政と警察、消防、及び教育委員会との適切な情報交換が実行されることは極めてまれである。

愛護動物気風の立ち後れの実態

生物多様化国家戦略の中で、抑止されるべき措置に移入動物の駆除処分が方法とされているが、移入動物の発生に起因して環境が侵害される恐れを防ぐ措置は充足されていない。同様に、放置され放浪する動物を生み出さないための遵法措置が実行されることは極めて少なく、致死処分措置が多用されている。

実験を実行する分野によって作成された政令基準における実験動物の定義と、実際に実験等に供されている動物の関係では、本法に準拠した整合性が図られていない。

引き取った動物に生存の機会を与える行政措置は整っていない。

法に定められている、人が犯す犯罪該当動物の保管措置がなく、罰則の執行が行いにくい。

愛護動物という定義と、取扱業及び産業や展示などに供される動物の、飼養や保管に係わる定義等に合理的な整合性が合致しない場合も有り混乱が生じている。

本法に定める協議会や推進員には、畜犬畜ねこ業などとも関連の深い組織を含む、主要公益法人格組織などが既に任意の動物愛護協議会を組織し、任意の資格を与える関連組織より、推進員を推薦するなどの混乱が生じている。また、法制化にあたっての審議会では、動物が命あるものであることに鑑みて、行政施策の適切な実行を求める立場の分野は、行政と協調性がないなどとの理由から、法で定める協議会に属させない旨の記録が公開されている。

動物取扱業の法令には定められていない、施設規模の大小等が条例等で採用されるため、継続反復する愛護動物譲渡者が、動物取り扱い業に規則されない場合が多い。

アニマルレスキューを規則している消防は多くはない。

愛護動物教育を適切に行える教育者の育成制度を整える教育委員会はほとんどない。

マスコミやジャーナリストなどのほか、広告や映画など芸術的分野の表現に限らず、動物を商業利用するに際して、適切な愛護動物事情を指導監視する公益的な組織や機能がない。

法を実行または執行する措置が整備されていない事態

行政不作為はもとより、法を超えた疑いの高い行政措置を行う自治体が多い。

公益性をつかさどる分野への適切な普及啓発が働かず、法の精神に準拠すると判断されることの困難な多種多様な愛護動物理念や概念が幅広く流布されている。

飼い主(業とする者も含む)に対する、法の精神に準拠した統一規範の普及啓発体制が整っていない。

解説

公道に踏み入れる際には道路交通法を学習し従う意識や気風は普及啓発され、または免許制などで定着している。

動物に接する際に動物の法律に準拠する文化的土壌は成熟されておらず、既に動物に接した事態・事例などの既成事実や、法が施行される以前からの慣習などが、法の適切な実行を妨げている。

そのほか

動物が命あるものであることに鑑みて、学術的専門的に探究する公益的な機関は構築整備されない。動物に何らかの価値或いは、人の使役に供される有体物とする分野の公益的な組織活動が先んじている。

動物愛護の先進といわれる海外欧米諸国でも、行政執行官は、人のために働くとされ、繁殖流通される動物市場活動に、法の抑止をどれほどの範囲まで広げられるか、あるいは事実先行の事態との公益性に、どの範囲まで譲歩できるのか、共通の悩みとされています。ある国では、動物は命あるものと憲法にうたい、またある国では、年間2腹以上の繁殖者を事業者に規則します。種々規制緩和が求められる国内の風潮にあっても、こと愛護動物事情では、緩和よりも以前になすべき事態の多いことが提起されています。

マスコミやジャーナリストほか取材ご担当の皆さまへ

※法令などに準拠しない広報流布や、イベント企画などやその他の際には、ご配慮依頼や改善のお願いが促される場合も有ります。(取材お打ち合わせ担当は、AWN連絡会共同代表より委嘱されます。)

※特にご留意いただきたい顕著な事例。(新聞、テレビ、雑誌、公告、イベントなど多岐に及ぶ)

  • 鑑札登録票を表示していない犬の使用
  • 引き綱で引かれていない犬の使用
  • 愛玩動物を繁殖させ、反復継続する譲渡行為などを、微笑ましい事態とする広報流布
  • 終生飼養の責務に反し、やむを得ない事態以外での犬ねこの譲渡行為や引取申請の流布
  • 生後社会性が図られる以前の犬ねこの譲渡を微笑ましい事態として流布する行為
  • 終生飼養を前提としない場合の、犬ねこ等愛護動物の、繁殖医療技術等のみだりな紹介
  • 愛護動物遺棄違反、殺傷違反、衰弱虐待違反、登録違反など犯罪情報を得た際の無作為
  • 同様に、同上の可罰違法行為を単なる動物エピソードとして流布する行為
  • 動物とのふれあいなどとするイベントなどでの、不適切な展示などの紹介
  • 愛護動物生体プレゼント企画の協賛などには格別の御配慮願いが促されます。
  • 動物行政不作為などに起因して発生した、生活環境上の愛護動物を、狩猟鳥獣に転嫁する報道
  • 動物へのストレス回避対策が満たされない使用(特にテレビ番組など)
  • 法令などに準拠しない行政措置などでも、その実行行為だけを報道し、その行政措置などの疑義提起をしない報道。
事前にご検討いただきたい参考法令の一部
  • 動物の保護及び管理に関する法律(昭和48年10月1日法律第105号)
    動物の愛護及び管理に関する法律(1999.12.・改正)
  • 犬及びねこの飼養及び保管に関する基準(昭和50年7月16日総理府告示第28号)
    家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年・改正)
  • 犬及び猫の引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要項について(通知)
    (総管第237号 昭和50年4月5日 総理府総務副長官)
  • 展示動物等の飼養及び保管に関する基準 (昭和51年2月10日総理府告示第7号)
  • 実験動物の飼養及び保管等に関する基準(昭和55年3月27日 総理府告示第6号)
  • 産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和62年10月9日 総理府告示第22号)
  • 動物の処分方法に関する指針(平成7年7月4日 総理府告示第40号)
  • 動物取扱業者に係る飼養施設の構造及び動物の管理の方法等に関する基準(平成12年6月30日)
  • 動物の愛護及び管理に関する法律施行令
    (動物の保護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令及び動物の愛護及び
     管理に関する法律施行令の一部を改正する政令による改正後)昭和50年4月7日
    (政令第 1 0 7 号一部改正平成12年6月30日 平成12年9月29日政令第 4 3 7 号)
  • 管轄官省間における教示依頼や、回答文書。
  • 狂犬病予防法
  • 鳥獣保護法
  • 自然環境保全法
  • 各自治体におけるペット条例 など

尚、上記法令などは、お打ち合わせ当日にもご用意できます。