「○○月○○日より、野良猫を捕獲します。」などの告知が掲出された際の対応の実行事例です。

※環境省では今後"駆除"ということばの使用を控えるようです。

事態の背景

  • 該当の地域は、大規模な団地で、管理組合組織が整っていた。
  • 従来の慣行から、お役所が狂犬病対策用法定狩猟具の箱罠を保持していた。
  • 管理組合から、お役所に野良猫対策の相談があった。
  • 駆除計画は、捕獲罠を管理組合に貸与し、捕獲したねこの譲渡を3日間告示した後に致死処分を実行するものであった。
  • 近隣地域に、野良猫への保護や管理に努める推進役の住民がいた。

該当措置の改善にむけて

  • 地域ねこ計画の実行事例参考資料などが、地元の「人と、いのちある動物との共生」を推進する住民より、お役所や野良猫対策を思う住民にお知らせされた。
  • 推進役住民は、既に野良猫などへの繁殖制限手術実績も有り、地域ねこ計画の実行に強い役割を果たせる立場にあった。

当該案件に関して、お役所と誠心誠意お話しさせていただいた主なやりとり

  • ねこの駆除計画が事実か、どうなのか?
  • もし事実だとすれば、行政措置で執行できる、根拠法は?

市では

  • 法的根拠に関しては、当該実行措置について「よくわからない」ので、上部の省庁などからの教示を検討し、既に実行計画を発表した管理組合とも緊急の協議に入る。

県では

  • 県としての「ねこ捕獲駆除事業」はない。しかし、ねこを捕獲した後、該当ねこの譲渡も計画された際には、実行も可能ではないものか??動物を殺す措置を好む者はいないと思う。

実行措置中止にいたる主な疑義提示案件

  • ねこ捕獲時の態様において、衰弱虐待または殺傷犯罪と判断される恐れが極めて高い。
  • 飼い主責務のなかで「譲渡」は、「他に方法が見当たらないやむを得ない事態において、飼い主自らが行う、新しい飼い主さん探しの努力」とされています。このため、まえもって譲渡を目的とする捕獲行為に基づいたねこは、センターなどで引取申請を受理する際の理念にあいません。行政が普及啓発に努める「愛護動物の適正な終生飼育」の理念との整合性も保たれません。まえもって譲渡を目的とする捕獲行為は、愛護動物を手にした者は終生飼い続けるという理念との間に合理性がないばかりではなく、野良猫を飼い猫状態まで訓練し、適切な新しい飼い主に譲渡するまでの日数が3日間ではとても不可能なことや、ねこの擁護や愛護あるいは福祉を切実に願う者などを対象に、譲渡に係わる適切な飼養の継続などを強く求めることは、終生に及ぶ飼養にたずさわることを強いられた個人の財産権利などや、身体の保全を侵害しかねません。
  • 百歩譲って極めて安全な態様などにより、捕獲保護された場合のねこであっても、捕獲保護の実行行為の母体となっているお役所には、終生に渡り適正に飼養できるシェルター機能施設がありません。このことは、管理組合や住民にも同様です。
  • 狂犬病予防法に準拠するとされる際の抑留該当動物と野良猫は、法の執行に際してその位置付けが異なります。
  • 昭和48年から動管法が施行された後にさかのぼり、飼い主や取り扱い業等々に対して、愛護動物の適切な保護や管理に関する普及啓発措置等が、お役所から有効に執行されていたと仮定した際に、徘徊する野良猫の発生は既に抑止できていたものと思われます。行政不作為などという強い疑義が起こります。
  • 万が一、なんら根拠法がみあたらないなかでの行政措置と判断される際には、当該事業計画に対する、住民監査請求等々の血なまぐさい事態を好む者はいません。
  • 幸いにも、該当の地域には、適切に野良猫の保護や管理にたずさわることにやぶさかではない住民もおり、お役所の後押しのもとで、これ以上増えないための繁殖制限手術措置等を実行することも可能です。
  • お役所に望まれるのは、飼い主に対する遺棄違反防止対策や、適切な終生飼養の啓発、飼い続けられない恐れがある際の繁殖制限の指導、愛護動物殺傷犯罪や衰弱虐待犯罪の摘発等々です。
  • 法定狩猟具箱罠の使用に係わる、強い疑義も浮上しています。
  • お役所に係わらず民間によって、外を徘徊する愛護動物のねこに対し、類似の駆除行為が発覚する折には、法に準拠してお役所が警察などと協働し執行するところの「違法行為摘発」が求められます。
  • なお、当該の実行事例では、ねこが致死処分に付される事実を知らされていなかった団地管理組合員もいました。