ねこだすけニュース vol.7
更新'98.11.
ねこだすけ会員に、フリーペーパーをお届けしています。
ねこだすけは、草の根の野良猫愛護ネットワークです。Neko-Dasuke NEWSに原稿をお寄せください。7号はB4サイズ2折8頁。5000部郵送と手配り。
7号掲載予定の主な内容
【地域猫ってな~に?】
僕たちにとってテリトリーはすっごく大切なことなんだ。
生まれ故郷からはめったなことでは離れられません。
誰かに連れられて遠くに行っても、
僕たちの方向感覚は思ったより強いので、
頑張ってまたここに戻ってこられるしぃ ~~
やっぱり、ここのテリトリーでずーっと住みたいです。
でも、最近はもともとは海外で発見されたとかゆう、
いろいろなウイルスのエイズなども増えてきたので、
飼われていて捨てられたり、帰れなくなった、
気の毒な猫仲間からうっかり感染すると、
そんなに長く生きることも簡単ではないしぃ ~~
なるべく早めに不妊や去勢手術に連れてってください !!
子供や子孫が出来ないことについては
なんだか、ずいぶん複雑な気持ちだけどぉ ~~
どうにか我慢もします。
僕たちがじゃまにされてガス室で殺されるのはいやだ !!
ごはんも決まったところで、決まった時間にするようにします。
うんちもおしっこも、
なるべくお片付けのじゃまにならないようにします。
どうかお願いです。
ここに居させてください。
【行政の理解も深い「地域猫対策」とは・・・】
今あなたのそばで生きている猫に、これ以上増えないための不妊と去勢手術をして、地域の人たちにも協力をお願いし合い、「地域の中で猫と素敵に共存する」適正飼養のルールを作りながら、今猫が生きているテリトリーの中で、人たちが知恵を出し合って、人の命よりもはるかに短い「猫の一生涯の命」を守る方法の一つです。
◆地域猫対策は、猫がそばにいるすべての方が参加できる方法です。
◆この方法を実践する皆さまが垣根を取り払い、互いに手を取り合った「全国動物保護運動協働ネットワーク」が発足しました。
◆猫に手を差し伸べておられる皆さまの「動物協働ネットワーク」へのご参加などのお問い合わせは、ご活動内容やご住所、ご連絡先などをご記入の上、左の電話番号宛ファクシミリでお願いいたします。
◆現在は全国七ブロック八グループが活動中です。(10月末現在)
●連絡代表/中部ブロック ファックス 052-711-0359
【人と人とですすめる地域猫対策は猫のそばにいる誰にでもできます。】
ステップ1 明るく、おだやかな、前向きのお話し合いを猫ちゃんたちも見守って、待ちかねています!!
ステップ2 地域にお住まいのみなさまとのお話し合いのキッカケはありませんか? 猫好きお仲間の、プラス思考のチームワークができますか?
ステップ3 町内会、管理組合、保健所、お役所などにも地域猫をすすんでアピール!! 思いがけない、嬉しいアクシデントに巡り会います。
【地域猫の始まりは、人と人とのおだやかなお話し合いがきっかけ。話せば、必ず分かり合えます。】
●明るく、前向きに お声をかけ合ったので数人のグループとご一緒が出来ました。一日で十数匹。嬉しいカンパも充分です。(横浜中川事務局)
●大きな声のアピール は、ずらーと並んで行った不妊・去勢手術費の街頭募金です。捕獲や手術も進んでいます。しかし捨て猫違反対策はこれからです。(東京港区)
●思いがけない普及広報 ができました。団地組合の会報紙や全国向けの新聞ラジオにも地域猫活動が取り上げられました。猫迷惑?派にも飛び込んでお話し合いを進めています。(東京世田谷都営住宅)
●ご苦労ばなしも多いです。町内の猫駆除派の勢いは止まりません。緊急救済小屋に避難中ですが、地域で生きる話し合いは諦められません。(東京千代田区)
●野良猫手術実践篤志家のご婦人へ奇妙なよこやりや作り話しも飛び出しました。中傷などは笑いとばして地域全域に広めています。(東京中野区)
【小さな地域の「地域猫対策」が広がっています。】
東京新宿区A地区/「猫が増えて困る」と地域の声が大きくなった後には、エサやり禁止の回覧が回りました。しかし猫の嫌いな町内の実力者から、エサやりがどうしても止められないなどのご相談がありました。その後は動物保護法(動管法)の事、エサやりと捕獲や不妊手術の事などを何回かお会いしてお話し合いをしました。結局は自治会費からの補助と、有志からのご寄付を集めて手術が行われました。テリトリーの猫ちゃん全部で25匹の手術が終わり、現在は町内の責任者の方と地域猫運動を新宿区全域に広げて行きましょう!と近隣の町内会にもお願いに行く方向で更に話し合いが進んでいます。
裏話し・・地域の区議さんや、保健所、区役所などには積極的に横浜磯子区などの「地域猫」資料をお届けしお話しもしました。私たちや地域の人たちで猫に対して出来る事などもお話しして、なるべく行政からの側面支援にも期待しました。きっかけはエサやりの方が積極的に「地域猫としての共存」を目指して努力をしたことです。
東京新宿区B地区/OLのKさんが野良猫の保護や救済を自宅で行っていましたが、出産する外猫が多いのを見かねて地域で不妊手術を始めました。しかし自費では手術費も限られます。町内会へ事情を話してご寄付のお願いに伺いましたが、Kさんがその町内の住民ではないことなどもあり、町内会からのご寄付は頂けませんでした。しかしここの町内会からは町角の掲示板に回覧やその他の手作りのチラシなどを貼る許可をいただきました。その結果、従来から外の猫のことを良くご存じの方が、ここでも小さな地域猫対策が行われている事を知り、手術費のご寄付をしていたけることになりました。今後は未だ保護や手術が続きますが、ほとんどは町内の方々からのご寄付でまかなう事が出来そうです。
裏話し・・ここの町内会では野良猫対策の決定事項を管轄の役所に問い合わせしました。役所では地域猫の具体的な実践はできませんが、行える方が居るときは「地域猫化」に理解があり推奨しています。OLのKさんが積極的に町内会にお願いした事がきっかけになりました。
埼玉県和光市/ペット禁止の民間マンションが数棟並ぶ団地です。エサやりの方が野良猫への具体的な不妊手術の為の捕獲方法などをご存知なかったので猫が増えました。そこで管理組合は「エサやり禁止」の対策をしました。しかし「かくれてエサをやる・エサ場が汚れる・猫が増える・苦情が増す」の悪循環が続いていました。これでは堂々巡りなので、猫好きの1人が決心をしました。エサやりが非難されて規約がもっと強くなる心配が脳裏をかすめ、恐る恐る管理組合理事会とお話しするきっかけを作りました。動管法特に4条の終生飼養、9条の繁殖制限、13条の虐待禁止をよくお話しし「殺す事は法律違反、殺すことが出来ない以上9条の繁殖制限によって猫の数を減らしていく以外に方法が無い」事を結果的には皆さんがご理解してくださいました。理事会からも回覧での広報、捕獲時の腕章の貸し出しやほかにもサポートをいただきました。捕獲時には住民の皆さまにお声を掛けてご説明したり、逆に励まされたり大変良い状況でスタートし、保護の現場を見た数人の方からは手術費のカンパもいただきました。まだ地域猫対策は始まったばかりですが順調に手術が進んでいます。
裏話し・・埼玉県ペット条例が10月に新しくなったことも幸いしました。管理組合では保健所などにも捕獲、殺処分の問い合わせをしましたが、条例では行政が殺すことを目的にした捕獲などの実務はしません。猫と人と素敵な共存の指針がうたわれていますし、飼い主さんの責任も重くなっています。
動物の保護及び管理に関する法律(動物保護法・動管法)、や東京都動物の保護及び管理に関する条例(各都道府県などのペット条例)などでは、動物愛護の気持ちを高め、人が動物を守ることと、動物から人を守るルールも決めています。猫は人と共存する尊い命との精神ですが、他の「人間」のための様々な法律などでは動物も「動産」や「物」とされてしまいます。このため商業や通常の生活の中では動物の法律も顧みられることが少ないので、日常生活でも動物の法律を優先することが大切ですし、時代に適した法の改正案も提案されています。
この動管法は簡単で優しい法律です。捨てるな・増やすな・殺すな・逃がすな・苦しめるな・生まれたら一生面倒見てね!・・がこの法律の要約です。「遺棄虐待罰則」では猫を捨てたり苦しめたり殺したりすると警察に逮捕されます。「終生飼養」は、猫を手にするか産まれたら一生涯に渡って飼い続けることです。「繁殖制限」は猫が増えて一生涯飼えないときは産ませないようにすることです。また猫を飼うときの適正に飼う「適正飼養」のルールも決められていますし、むやみに手放すのでは無く「やむを得ず継続して飼養できなくなったとき」には、適正飼養のできる人に譲ることができます。万が一譲る相手が見つからないときは都道府県に引き取りを依頼します。しかし、この法律もところどころでは商業を営む立場で猫を「モノ」とする分野にも取り入れられ、一生涯飼える相手を探す前にも殺処分場に引き取らせています。また前もって「終生飼養」を目的にしない猫の繁殖や、一生涯適正に飼う目的ではない相手に譲られたり、「終生飼養」の途中でも入居を拒否されるなど、さまざまな商業の分野ではこの法律の抜け道も日常的に見られています。
動物の保護及び管理に関する法律やペット条例に決められているのになかなか守られにくい事例などを集めました。
●動物は物ではない
ある団地の管理組合が「ペットの飼養禁止」を決め、現在飼養中のペットを処分することと回覧しました。法律には「動物の終生飼養」があるので「動物は物ではない」としたときにペットを処分する回覧はできません。裁判にも「現在飼っているペットの一生涯の飼養」は認めた管理組合の記録は有ります。
●捨て猫違反
子猫が段ボール箱に兄弟で捨てられていました。他の妹たちはカラスに食べられました。地域猫対策エリアにも捨て猫違反はあります。先ず保健所や区役所などに、地域猫対策中の区域に捨て猫違反が有ったことを報告します。最寄りの警察署に動管法のコピーを持参して、(警察が動管法を知らない場合も多いです。)遺棄虐待罰則を通報します。捨て猫違反の有った地域に「遺棄虐待は逮捕も有る違反行為」「警察官巡回地域」などの貼紙を掲出します。
●お叱り
「野良猫は邪魔なのでどこかへ連れていけ」と「餌をやるから猫が居る」はお叱りの決まり文句です。ペット条例などでは猫を占有していないときでも、飼い主として認められる場合がありますので、外猫ちゃんにも繁殖制限や適正飼養に努めているときには終生飼養にも努めなければならなくなります。また、外猫ちゃんに餌だけを与えるときでも、この外猫ちゃんの占有をしていない飼い主とされますので、食器のお片付けやうんちの掃除、場合に依っては餌やりの場所などの他、適正飼養に関係する事柄を守る必要はあります。
●有りそうで
なかなか無いのが猫ちゃんの救済・保護施設と里親さんやもらい手さんです。最近は猫を「商品やモノ」として扱い一生涯飼うことを目的にしないもらい手さんや引き取り手さんが雑誌や新聞広告などで「猫引き取ります」などと広告していますが、このようなもらい手さんに里子には行かせられません。 善意の市民ボランティアグループには引き取る程の余裕の施設や仕組を持つところは有りません。将来、里子の成長した姿などを、新しい里親さんに尋ねられないなどのときにはご注意が必要です。
●思い込み
生まれる前からもらい手さんが決まっているので、繁殖制限はしないで生ませることができると思っている方も随分多いようですが、生まれた全ての赤ちゃん猫を適正に終生飼養ができないときは繁殖を防止する措置が必要です。また譲渡は「やむを得ず継続して飼えなくなったとき」です。また、ある著名愛猫家組織のモットーは野良猫に手術するのとは違うやり方の、「純血猫に繁殖制限をして、不幸に生まれる命を無くしながら血統を守る」とされ、方法が違うだけで考え方は野良猫への手術と同じ、とされています。しかしこのモットーも、動管法の「動物は人と共存する尊い命」のきまりや「全ての生き物に尊厳を」との動物への慈しみなどの、人間らしさからかけ離れた「動物は動産・モノ」と見る商業などの分野と同様に、なかなか猫を適正に飼う人々にすら守られにくいモットーになっています。
●「めいわくですから
犬猫は団地にはすめません」などの看板を掲げた公団住宅がたくさんあります。野良猫は文字を読めませんし、看板を読んだ人の心はすさみます。ヒトの権利を主張するだけではなしに、動物の尊い命を慈しみながら、不妊去勢手術をして、一代限りの短い命を見守るときのヒトの優しさや、公共の場所で動物と人とが触れる情緒の豊かさ。ヒトと動物が共存するルールやモラルの大切さ。小さな命のはかなさに触れる複雑な感情などの貴重な経験の場所やチャンスを子供も含めた全てのヒトが失うことには寂しい思いがあります。
下記はこのほかの記事のタイトルなどです。
【明るくワイワイねこだすけ事務局便り!! 】
ご活躍中の皆様の簡単なご紹介です。
【ご支援の御礼】
ご支援品や募金のお礼やお願いと収支決算経過です。
【猫の適正飼養推進策について】
東京都動物保護審議会では都民から意見書を募集しました。ねこだすけメンバーが応募した意見書の概要です。
【N.Y.のボランティア団体訪問記】英文
【N.Y.のボランティア団体訪問記】和文
ねこだすけメンバーがプライベートで視察したニューヨークレポートです。
【垣根の無い動物カルチャー大きくなーれ!! 】
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