いのちにやさしいまちづくり NPO ねこだすけ

ねこだすけのテーマは、「人と動物との適切な関係づくり」


人のために働く動物。
人の役に立つ動物。
自然環境と動物。
人間の社会環境と動物。
人の命とは少し異なるものの、やはり命ある動物。

命ある動物と、人との適切な関係づくりを目指します。


 すごく身近な愛護動物の「ねこ」を対象に、小さないのちにやさしいまちづくりの実現をはかっています。ねこは日本中に生息しています。ねこからの生活侵害苦情を訴える国民も、生息するねこと同じ比率で、ねこのテリトリーで生活しています。

 小さないのちにやさしいまちづくりを実現する方法として「地域ねこプラン」が行われています。このプランは、ねこからの侵害苦情を訴える隣人たちへ、ねことの共存に向けた合意を求め、お互いに妥協点を探りながら、ねこを排除するのではなく、人々の知恵と行動によって、共に調和をとりながら暮らしていこうという試みです。

 具体的には、これ以上人の手から外に放されるねこを増やさないための、ねこの飼い主や動物事業者などに対する普及啓発活動を進めます。
 国内法で、ねこは愛護動物と定められています。愛護動物の飼い主や取り扱い事業者には、ねこを飼い、あるいは取り扱うに際して、いくつかの法規制が1973年に定められました。しかしこれらの法規制は、それ以前からの長期間に渡るペット産業構造の拡大などにより、ほとんど実行や執行のされない法律でした。
 ねこだすけでは、法律を執行するための、法による適切な行政措置の実行を求めて、国内の各地域行政に対し、希望により「地域ねこプラン」の実行マニュアルの配付などを行っています。

 法律の主な内容は、愛護動物は命あることに照らし合わせて、人との共生に心配りされながら、動物を介して愛情や尊さを学び、動物から人への侵害も防ごうとするものです。

 具体的には、手にした愛護動物を一生涯に渡り、適切に飼い続けること。手にした愛護動物を繁殖させても飼い続けられない恐れのあるときは、繁殖をコントロールすること。愛護動物を捨てることや、衰弱させる虐待、あるいは殺し傷つける行いは、それぞれに異なる罰則のある違法行為です。
 また、法の罰則を摘発する警察でも、その前段に位置付けられる行政力で、適切な愛護動物施策の行われることを望んでいます。これからの時代は、愛護動物に対する違法行為の発生抑止に進むものと思われます。

 法律の精神にもとづいて「人の命とは少し異なるものの、はやり動物は命あるもの」などとする順法事項が、すべて完璧に執行される場合に、ペット関連事業や動物に関係するさまざまな経済活動の分野の事業の立ちいかなくなる事態は世界共通です。

 我が国の場合には、狂犬病の撲滅を目的に1950年に施行された、狂犬病予防法により、各都道府県に動物の致死処分施設が作られました。動物愛護法の制定はその後になりますので、余剰動物といわれてしまった場合のペットのほか、動物で人が困った時には施設で殺せる、などという認識が強くなりました。
 やがて、動物の生命尊重を盛り込んだ動物愛護管理法(1973年施行・2000年改正)が作られましたが、施設で動物を殺す対策が長く続いたためもあり、動物に生存の機会を与えるなどの国民の意識定着も遅れました。

 ペットに限らず、人のために働き、人の役に立つ動物は急速に増えました。しかし人の役に立たなくなり、人のために働かなくなって余剰動物と呼ばれてしまう動物への対策は、これからの我が国の大きな課題となっています。

 動物の致死処分施設を、動物に生存の機会を与える使い方に方向転換しようとする考えはあるものの、現実的な行政政策には受け入れられにくく、公的なアニマルシェルターは無いに等しい事態です。

 ペットの飼い主に限らず、「動物を手にしたすべての者は、その動物の子孫に対しても一生涯の責任を持とう」、などの理念は、崇高すぎて現実離れしているとも風評されてしまいます。

 我が国ならではの地域コミュニティで、ねこをテーマに「人々が一生涯の責任を持つ」プランが試みられました。

 東京都の、「飼い主のいない猫との共生モデルプラン(以下通称・地域ねこプラン)」へ、ねこだすけは、積極的に協働参加し実行しました。

 これは1998年、東京都条例により都知事が、愛護動物行政施策について諮問した事項への答申を参考に、2001年にはじめた3年計画のモデルプランです。

 3年経過した2004年、「東京都動物愛護推進総合基本計画」が策定され、地域ねこプランが確実に浸透しつつあることをうけて、「飼い主のいない猫との共生支援事業の普及推進」が行政措置に取り入れられました。

 古くから飼い主のいない猫への対策として、保護(捕獲/T=トラップ)をして、不妊去勢手術(N=ニューター)を施し、返還(R=リターン)するプログラムが行われていました。(以下略称・TNR)
 TNRプログラムは、野良ねこの生息する地域で、ねこの健康や福祉を維持し、ねこの命を擁護する方法として評価されています。

 地域ねこプランは、ねこの健康や福祉の活動にプラスして、人が生活し、ねこも生息する地域の、環境とコミュニティの保全を考え合わせたプログラムです。

活動内容のおおむねのプロセスは、 
(1)地域住民組織の理解と合意を、ボランティア有志の協働活動のもとで得ること、
(2)地域住民組織の合意を得る活動を、市区町村の愛護動物所管に伝え、同意と協力を得ること、
(3)地域住民組織の合意と、ボランティア有志の協働活動協力を得た市区町村から、都に対して、モデルプランの実行支援要請を行うこと、
(4)東京都が、このプランについて、市区町村の支援要請と、住民組織やボランティア有志の協働プログラムであることをうけて、モデル地区に指定します。
(5)その後、1年間のモデルプラン指定期間内にわたり、市区町村と都の支援をうけた住民組織とボランティア有志が、地域ねこプランを適切に運営し、根付かせます。

 通常の民間委託事業とは異なり、直接的な資金の援助や助成はありません。官民協働プログラムの位置付けで、人員や活動の主体はボランティア有志に委ねられます。
 プランを実行するボランティア有志に、手術費用の負担をさせない方法です。実際には、原則として都の獣医資格を持つ職員が手術を行います。

 具体的な活動は、


(1)地域ねこプランへの理解や合意を得るため、地域の住民に対して、ねこの習性や生理、生態ほか、飼いねこの正しい飼い方や、動物の法律に基づいて、捨てねこ違反や殺傷などが犯罪になることについてなどの広報を行います。
(2)広報の手段として、プリントや広報紙を作り、地域ねこプランセミナーや相談会を3年間で20回程開催しました。
(3)住民組織の理解や合意を得るための、町会などでの集まりに随時参加し解説しました。
(4)市区町村などの理解や合意を得るために、愛護動物所管担当などと折衝をしました。
(5)地域のねこの健康や福祉を考え、命の擁護を進めるため、TNRプログラムに加えて、ねこの飼い方指導や譲渡仲介、治療介護活動をボランティアが協働で行いました。
 また、東京都が実行計画をはじめるにあたり、動物愛護のボランティアグループやチーム、個人の方々との連携を深めながら、古くから行われていた、TNRプログラムの実行経過情報の提供などにお手伝いしました。

活動の成果

 ボランティア有志の努力により、2004年3月まで行われた東京都のモデルプランでは、20か所が地域指定されました。(継続地区含む)
 官民協働プランですから、指定地域には(1)住民組織等(2)地域の活動グループ・ボランティア・担当者等(3)協力団体・支援団体等のそれぞれに文書が公布されます。協力支援団体としてねこだすけ宛に6通の文書をいただき、その他の多くの指定地域でも、ねこだすけ地域ねこ計画チームのボランティアが参加しました。

 また、その成果をふまえた効果については、ねこの健康や福祉、小さな命の擁護はもとより、地域環境やコミュニティの保全に関する具体的な項目を策定し、ねこだすけで発行する広報紙を利用しながら、現在アンケート調査を進めています。

 人と動物との適切な関係を求めた実験的な試みが終り、行政の実行施策の項目に、「人と動物との調和のとれた共生を目指して」「飼い主のいない猫との共生支援事業の普及推進」が盛り込まれたことも成果です。

 試験的な「地域ねこプラン」が、長期の行政施策に盛り込まれたこともあり、従来のTNR活動をサポートし、ステップアップを目指しつつ、人の生活するコミュニティで、人もねこも調和を保って共に暮らす「小さな命にやさしいまちづくり・地域ねこプラン」エリアの拡大に努めています。

 「すべての動物には命がある」とする考えにもとづき、人と動物との適切な関係づくりをすすめています。

 2004. SEP. 海外からの求めに応じて記しました。 NPOねこだすけ広報係





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